ジャーナル
2025.01.01
これまで私たちは、放牧に向けた準備を長年続けてきました。そして今年、いよいよ 「里山放牧」という新しいスタイルで、本格的な放牧に挑戦します。「里山放牧」とは、日本の伝統的な風景である里山を活かし、環境と調和した持続可能な酪農を目指す放牧の形です。単に牛を草地に放すのではなく、土地の特性を活かしながら、牛と人と自然が共生できるスタイルを作ることを目的としています。
目指すのは、ニュージーランドなどで実践される「集約制限放牧」の手法を取り入れながら、日本ならではの「里山」という風土を活かした独自の放牧です。
しかし、この地域は北海道のように冷涼な気候ではありません。そこで、船方農場が選んだのは夜間放牧を軸にした新しい放牧の形でした。
私たちがこの放牧を「里山放牧」と名付けたのは、日本ならではの自然と調和した酪農を実践したいという思いがあったからです。
つまり、「里山放牧」は “未来型の持続可能な放牧”という意味を込めた、船方農場ならではの新しい放牧の形なのです。
船方農場の里山放牧では、夜間放牧を軸にしたスタイルを採用します。
この地域では日中の気温が高く、北海道のように昼間の放牧が難しいため、日中は牛舎でゆっくり過ごし、涼しくなってから放牧します。
夕方の搾乳が終わると、牛たちは里山へ向かい、涼しい空気の中で自由に草を食むことで、ストレスなく過ごします。
翌朝、牛たちは再び牛舎へ戻り、搾乳を行います。このサイクルを繰り返すことで、牛の健康を守りながら、高品質なミルクを生産します。
これまでの放牧のイメージとは異なる、未来型の放牧スタイルです。
日中の強い日差しの中で放牧すると、牛の体力が奪われ、ストレスが増します。夜間放牧なら、牛が無理なく過ごせるため、健康状態を維持しやすくなります。
朝露を含んだ夜間の草は、牛にとって食べやすく、栄養価も高いものです。これにより、ミルクの質が向上することが期待できます。
「放牧=広大な土地が必要」というイメージがありますが、里山の特性を活かすことで、限られた土地でも持続可能な放牧を実現できます。
私たちが挑戦するこの「夜間放牧 × 集約制限放牧」は、単なる新しい試みではなく、未来型の酪農への第一歩です。
放牧は「伝統的な方法」ではなく、「これからの時代に合った、持続可能な酪農の形」へと進化できる—— その可能性を追求するため、私たちは「里山放牧」という名前をつけました。
船方農場が目指すのは、これまでの常識にとらわれない “新しい放牧の形”です。
これまでの準備期間を経て、本格的にスタートする今年が「新しい船方農場」の第一歩となります。
まだまだ課題も多く、試行錯誤の連続ですが、持続可能な放牧酪農の可能性を広げるために挑戦を続けていきます。
「未来の酪農は、こういう形もあるんだ。」
そう感じてもらえるような放牧を目指して、これからも歩んでいきます。
船方農場の新しい挑戦、「里山放牧」の未来にご期待ください。