JOURNAL

ジャーナル

2026.10.06

牛が、少し好きになった日。

地元の小学1・2年生が船方農場へやってきました。

9月14日。

地元の小学校の1・2年生のみなさんが、合同で船方農場へ学びに来てくれました。

昨年に引き続き、今年もこうして子どもたちを農場へ迎えることができました。

この日体験してもらったのは、牛舎の見学、子牛とのふれあい、乳搾り、加工施設の見学、そしてバターづくり。

いつも私たちが仕事をしている農場を、子どもたちと一緒に歩きました。

最初にやってきたときの子どもたちは、少し不安そうでした。

目の前にいる牛は、普段見る動物よりずっと大きい。

牛舎に入れば、牧場特有の匂いもあります。

「ちょっとこわい」

「くさい」

そんな声も聞こえてきました。

でも、それはとても自然なことだと思います。

普段の生活の中で、牛をこんなに近くで見る機会はほとんどありません。

牛乳は毎日のように飲んでいても、その牛乳を出してくれている牛に会ったことがない子もいます。

最初は少し距離をとりながら牛を眺めていた子どもたち。

けれど、一緒に農場を歩いているうちに、その距離が少しずつ変わっていきました。

子牛に会う。

牛舎では、子牛にも会いました。

まだ小さな体。

大きな目。

こちらをじっと見つめる姿。

「かわいい」

そんな声が少しずつ増えていきます。

さっきまで牛舎に入ることに少し緊張していた子が、いつの間にか子牛のそばまで近づいている。

牛を見る目が、少しずつ変わっていくのが分かりました。

「見る」から、「触れる」へ。

そして、この日の大きな体験のひとつが乳搾りです。

目の前にいる大きな牛に、自分の手で触れる。

最初は恐る恐る手を伸ばす子。

友達がやっているところを、少し離れて眺めている子。

思った以上に上手に搾れて、うれしそうな顔をする子。

それぞれの反応がありました。

けれど、乳搾りが終わるころには、最初とはずいぶん表情が変わっていました。

牛の近くまで行ってみる。

触れてみる。

「かわいい」と話しかける。

案内をしながら、その変化をすぐそばで見ることができました。

最初は少し怖かった牛が、

触れてみることで、

「好きな動物」に変わっていく。

その様子を見られたことが、私たちにとってもとても印象に残っています。

牛乳は、どこから来るのだろう。

私たちが普段、何気なく飲んでいる牛乳。

スーパーや冷蔵庫にある牛乳だけを見ていると、その向こう側にある風景はなかなか見えません。

でも、牛乳は最初からパックに入っているわけではありません。

牛がいて、

その牛を育てる人がいて、

毎日乳を搾る人がいて、

加工する人がいて、

届ける人がいる。

この日は、牛舎だけでなく、牛乳や乳製品をつくっている加工施設も見てもらいました。

さっき自分たちが乳を搾った牛と、普段飲んでいる牛乳が、少しでも子どもたちの中でつながってくれたらと思います。

牛乳から、バターへ。

最後はバターづくり。

容器を手に持って、振って、振って、また振って。

少しずつ中身が変わっていく様子を、自分たちの手で確かめます。

いつも食べているバターも、もとを辿れば牛乳です。

そしてその牛乳のさらに向こう側には、さっき会った牛たちがいる。

牛に会い、

乳を搾り、

加工施設を見て、

最後に自分たちでバターをつくる。

一日の体験が、一本につながっていきます。

「食べものは、どこから来るのだろう。」

そんなことを少しでも感じてもらえていたら、私たちにとってこれほどうれしいことはありません。

この地域に、農場があるということ。

船方農場は、この場所で長く農業を続けてきました。

私たちは、農場の役割は食べものをつくることだけではないと思っています。

地域の子どもたちが、

牛を見て、

牛に触れて、

食べものができる場所を知る。

スーパーで牛乳を見るときに、

「あの牛乳の向こう側には、牛がいるんだ」

と思い出してくれる。

そんな記憶が、この地域で育つ子どもたちの中にひとつずつ残っていく。

それもまた、ここに農場がある意味のひとつなのかもしれません。

昨年に引き続き、今年も子どもたちを迎えることができました。

最初は少し不安そうだった子どもたちが、

帰るころには牛のそばにいて、

牛を好きになっている。

その姿を案内しながら見ることができた私たちにとっても、忘れたくない一日になりました。

また来年。

少し大きくなったみんなに会えることを、楽しみにしています。

FOOD IS LIFE.

生きることは、食べること。

※当日の写真は、学校よりご提供いただいたものを使用しています。ご協力いただき、ありがとうございました。

この記事のあとに
・牧場の朝は、5時から。
・放牧は「始まった」ではなく、「始めていく」
・春の草が、秋のチーズになる。