JOURNAL

ジャーナル

もう一度やるなら、本気で。

船方農場には、ハンバーガーがあります。

休日になると、炭火でパティを焼く煙と香りが農場に広がる。

今では、多い日には一日300個以上をつくることもある、船方農場を代表するメニューの一つです。

けれど、このハンバーガー。

ずっと変わらず、ここにあったわけではありません。

はじまりは、2006年ごろ。

船方農場でハンバーガーの提供を始めたのは、2006年ごろ。

当時から変わらないのが、パティを炭火で焼くことです。

肉を網の上に置く。
脂が炭へ落ちる。
煙が上がり、その香りがまた肉を包む。

手間はかかります。

それでも、炭火だからこそ出せる香りとおいしさがある。

その後、ハンバーガーは一度、提供を休止しました。

そして時が経ち、場内に新しいファームテラスができたタイミングで、カフェメニューとしてハンバーガーを復活させることになります。

そのとき、ボス(理事長)が言ったのが、

「復活させてやるなら、本気で自分たちがおいしいと思えるハンバーガーをつくりたい。」

という言葉でした。

昔のものを、そのまま戻すのではない。

もう一度やるなら、自分たち自身が食べて、本当においしいと思えるものをつくる。

今の船方農場のハンバーガーは、そこから始まりました。

ハンバーガーを食べるために、全国へ。

そこからボスは、全国各地のハンバーガーを食べ歩きました。

肉の厚み。
バンズとのバランス。
野菜。
ソース。
焼き方。

そして、具材を重ねる順番まで。

ハンバーガーは、一見するとシンプルな食べものです。

でも、実際につくり込んでみると、同じ材料でも厚みや焼き方、重ねる順番ひとつで味の感じ方は変わります。

最初のひと口で何を感じるのか。
肉汁をどこで受け止めるのか。
最後にどんな味が残るのか。

食べて、考えて、つくって、また食べる。

そうやって、自分たちが「これなら本当においしい」と思える一個を探していきました。

細かなレシピや組み立て方については、もちろん企業秘密です。

肉を食べるためのパティ。

ハンバーガーの中心にあるのは、やっぱり肉です。

船方農場のパティに使っているのは、船方農場で育てた肉牛のお肉100%。

つなぎは使いません。

肉そのものをパティにして、一枚ずつ炭火で焼いていきます。

肉から落ちた脂が炭に触れると、煙が立ち上がる。

その煙と炭の香りをまとわせながら、表面を香ばしく焼き上げます。

ひと口かじったときに、

「肉を食べている。」

そう感じてもらえるものにしたい。

自分たちで肉牛を育てている農場だからこそ、肉のおいしさを、できるだけまっすぐ届けたいと思っています。

今、大切にしている「サクッ」。

そして、今の船方農場のハンバーガーを語るうえで欠かせないのが、バンズです。

とくに大切にしているのが、ひと口目のサクッとした食感。

ハンバーガーを手に取って、かじる。

まず、バンズがサクッ。

そのあとに、炭火の香りと肉100%のパティの存在感がやってくる。

ふわふわのパンで肉を包み込むだけではなく、バンズにもちゃんと存在感を持たせる。

この食感が、現在の船方農場のハンバーガーの大きなポイントです。

最近インターネットに投稿された口コミでも、「バンズまで美味しい」といった声や、バンズと肉肉しいパティの組み合わせを評価してくださる声がありました。

自分たちが今、大切にしているところを、お客さんにも感じてもらえている。

それは、つくり手としてやっぱり嬉しいことです。

肉だけがおいしくても、完成しない。

ハンバーガーは、パティだけで食べるものではありません。

バンズがあり、肉があり、野菜があり、ソースがある。

そして、船方農場で搾った牛乳からつくるチーズもあります。

一つひとつがおいしいことはもちろんですが、大切なのは、全部を一緒に食べたときにどうなるか。

だから、具材を重ねる順番にも理由があります。

そして、もう一つ考えてきたのが、

「冷めてもおいしいこと」。

もちろん、炭火から上がったばかりのパティをはさんだ、できたてがおいしい。

でも、家族と話しながらゆっくり食べることもあれば、子どもと一緒に食べていて少し時間が経つこともあります。

そんなときにも、ちゃんとおいしい。

焼きたての瞬間だけではなく、一個を食べ終わるまでおいしいハンバーガーを目指しています。

「高いかな」から、「この価格なら納得」へ。

店頭に立っていると、お客さんから価格について率直な言葉をいただくこともあります。

メニューを見たときには、

「ちょっと高いかな」

と思った。

でも、実際に食べたあとには、

「食べてみたら、この価格なのも納得。」

そんなふうに言っていただいたことがあります。

これは、私たちにとってとても嬉しい言葉です。

決して、安いハンバーガーではありません。

だからといって、「この価格でも安いですよ」と私たちから言いたいわけでもありません。

船方農場で肉牛を育てる。

その肉を100%使い、つなぎなしのパティにする。

一枚ずつ炭火で焼く。

バンズの食感を考える。

自分たちの牛乳からつくったチーズを合わせる。

そして、一個のハンバーガーとしてお客さんに手渡す。

そうした一つひとつを含めて、食べたあとに、

「なるほど、この価格なのも分かる。」

そう思ってもらえること。

値段以上に見せるのではなく、食べてもらって、納得してもらう。

それが、私たちにとって一番うれしい評価なのかもしれません。

一個の向こう側に、農場がある。

考えてみると、このハンバーガーには船方農場のいろいろな仕事が入っています。

肉牛を育てる人がいる。

肉を加工する人がいる。

乳牛を育て、毎日牛乳を搾る人がいる。

その牛乳からチーズをつくる人がいる。

そして最後に、炭火の前に立ってパティを焼く人がいる。

普通なら別々の場所にある仕事が、ここでは一つの農場の中でつながっています。

ハンバーガーをつくるために、すべてを始めたわけではありません。

船方農場がこれまで積み重ねてきた仕事を、一つひとつ重ねていったら、一個のハンバーガーになった。

そんな食べものです。

雨の日も、暑い日も。農場でゆっくりと。

現在、ハンバーガーは船方農場の場内にある、もともとレストランとして使っていた建物で、土日祝日に提供しています。

店内にはゆっくり食事をしていただけるスペースがあります。

農場というと、どうしても「晴れた日に遊びに行く場所」というイメージがあるかもしれません。

もちろん、天気のいい日に草地を眺めながら過ごす時間は気持ちがいい。

でも、雨の日の農場もあります。

夏の暑い日もあります。

そんな日でも、せっかく船方農場まで来てくださったのなら、天候を気にせず、ゆっくりと食事を楽しんでもらいたいと思っています。

農場を歩いて、牛を眺めて、お腹が空いたらハンバーガーを。

雨が降ってきたら、店内でひと休み。

暑い日は、涼しい店内でゆっくりと。

ハンバーガーを食べることだけではなく、ここで過ごす時間そのものを楽しんでもらえたら嬉しいです。

そして、今もつくり続けています。

「復活させてやるなら、本気で自分たちがおいしいと思えるハンバーガーをつくりたい。」

あのときのボスの言葉から、もう一度始まったハンバーガー。

でも、復活させて完成したわけではありません。

肉の焼き方も。
バンズも。
食感も。
組み合わせも。

もっとおいしくできないかと、今も少しずつ考え続けています。

だからこそ、今の船方農場のハンバーガーを食べてほしい。

サクッとしたバンズ。

炭火の香り。

船方農場で育てた肉牛のお肉100%、つなぎなしのパティ。

自分たちの牛乳からつくったチーズ。

そして、その一個が生まれている農場の景色。

晴れの日も。

雨の日も。

暑い日も。

農場に来たら、どうぞゆっくりしていってください。

食べ終わったときに、

「この価格なら、納得。」

そう思ってもらえる一個を、今日も農場で焼いています。


船方農場のハンバーガー

営業日|土・日・祝日
場所|船方農場 場内(旧レストラン)

※営業日・営業時間等は変更になる場合があります。最新情報は船方農場公式SNS等でお知らせしています。

Written by YUYA SAKAMOTO

坂本 雄也|船方農場

農業の現場に立ちながら、船方農場の広報やブランディングにも携わる。牛と人、土、草、季節、そして食べること。農場で働くからこそ見える風景や、そこで出会う人たちのこと、日々考えていることを、自分の言葉と写真で記録しています。

FUNAKATA JOURNAL
農場から、日々考えていることを。