ジャーナル
2025.06.02
こんにちは、船方農場です。
今回は私たちのポッドキャスト『FUNAKATA FARM RADIO』でお話しした内容から、
“発酵バター”づくりについて、ブログ記事として改めてご紹介したいと思います。
ただのバターじゃない。
1瓶に込められた、自然と手間と香りの話です。
スーパーでよく見かけるのは「非発酵バター」。
日本ではほとんどがこれです。
でも、世界にはもうひとつのバターがあります。
それが 「発酵バター」。
乳酸菌を加えて時間をかけて発酵させてからつくるこのバターは、
ミルクの甘み、酸味、そして奥行きのある香りが特徴です。
私たち船方農場がつくっているのは、この「発酵バター」。
しかも、1週間かけて丁寧に手作業で瓶に詰めています。
朝しぼったばかりのミルクを40℃に温め、
遠心分離機で「クリーム」と「脱脂乳」に分けます。
バターになるのは、この“クリーム”の部分。
すぐに殺菌し、32℃まで冷まします。
ここで「中温性の乳酸菌」を加えて、発酵がスタート。
32℃で6時間、さらに12℃で72時間。
まる3日間かけて、ゆっくりじっくり発酵させていきます。
できあがるのは、香り高い「サワークリーム」。
表面はヨーグルトのようにふわっとしていて、
“ジアセチル”という独特の発酵香が立ちのぼります。
発酵したクリームを専用の機械で激しく攪拌。
バターとバターミルクに分かれます。
バターを水でしっかり洗い、1日寝かせます。
水洗いによって余分な乳臭さを取り除き、
色もより鮮やかなクリームイエローに変わっていきます。
バターの塊をしっかりと練ることで、
残った水分を抜き、組織をなめらかに整えます。
この作業も、手作業で行っています。
ようやくここで、バターに塩を加えます。
そして、香りを逃さないように、溶かさず“固いまま”手で瓶に充填。
一つひとつ、丁寧に詰めていく。
それが私たちのやり方です。
機械で大量生産するのではなく、
人の手で、牛乳の状態を見ながら、季節のリズムに合わせてつくる。
だからこそ、
「ミルクの味がするバター」
「香りが立つバター」
になるのだと思います。
一般的なバターは半年持ちますが、
船方農場の発酵バターは賞味期限30日。
理由は、
「菌が生きているから、時間とともに風味が変わっていく」から。
買いたてのさっぱり感、
1ヶ月後のチーズのような熟成感。
ひと瓶で“味の旅”ができるのも、このバターの魅力です。
船方農場の発酵バターは、決して「特別な日」だけのものではありません。
毎日の食卓に、小さな感動を届けられたら。
そんな思いで、今日も一瓶ずつ、丁寧に仕込んでいます。
ファームショップ・新山口駅カフェで数量限定販売中です。
気になる方は、ぜひ一度お試しください。
食べた瞬間、きっとわかっていただけるはずです。
“これは、ただのバターじゃない”と。