4.創業者から学んだこと(経営者としての生きざま)
20年前の入社早々、私は坂本代表の後押しもあり社内で新技術研究会というグループを立ち上げました。仲間は同期入社の社員3名。何をするのか?既存の組織培養施設を利用した実用化技術研究です。社内の賛同して頂ける方から出資を集め、薬品や器具を購入して大学で学んだ技能をもとに研究を始めました。かっこよくいえば社内起業です。ただ、売上はほとんどありませんでした。いま振り返ってみると、当然、そう簡単にいく話ではありません。ただ、自分の考えを説明して仲間を集め、出資を集め、投資して事業を運営していくという貴重な経験をさせて頂きました。当時、社内の方からも応援の声と同時に、いろいろな厳しいご意見を頂きました。今、振り返ってみると自分の考え(事業運営)を精錬していく良い機会となりました。驚くべきことに、そのようなことがゆるされる土壌が農業生産法人
船方総合農場にあったのです。
話は変わりますが、事業者として今の自分の骨格となっているものは?まだまだ、若輩者の自分でも時にそんなことを考えることがあります。
自分の実家は兼業農家を営み、父親は職人として大工、林業に携わり、母親は近くの工場へパートに働きにでていました。両親は毎日、毎日、愚直にコツコツと働き、早朝や休みの日に家族で食べる米・野菜を生産していました。いつ休んでいるのか?働くことがすなわち生きることでした。余った米や野菜は近所の方や親せきに配り、助け合いながら地域のなかで姉も含めた家族4人の生活を支えていました。饒舌な両親ではありませんが堅実な生き様は、深く私の心のなかに刻み込まれています。
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花の海開発企画時
左:坂本代表、右:前島氏
(H15.1/16撮影) |
小さいころから農業に興味を持っていた私は、いつしか農学の研究者になりたいという夢を持ち、大学農学部に進学して講座のなかでも、もっとも厳しいと言われる研究室を選びました。アメリカで実績を積んできた教授のもとで、水分生体計測学の実験を朝から晩まで進め、当時は顕微鏡の使いすぎで目を酷使しすぎて一時、入院してしまったほどの没頭ぶりでした。仮説→実験(材料及び方法)→結果→考察→仮説の繰り返しの中で数多くの学会発表もこなし、結果・失敗の原因を建設的に考えて改善・解決していく思考訓練を受けました。いつしか研究者への道ではなく、産業としての農業に興味を抱き、事業家の道に進みましたが、当時、学んだことは「よい苗づくり」そして「経営」に生かされています。
事業を進めていく上では、学校で学ぶような「きれいごと」だけではすまされない出来事が次から次へとでてきます。そのたびにぶれていては何事も達成できません。目標を定め、その実現のために何事にも動じない「胆力」を私は創業者から感じ取りました。事業家として、とても大切なものだと思います。信念を持って事にあたるからこそ達成できる。幸運にもその現場に居合わすことができました。
人生、常に成長あり!船方農場グループの発展とともに私も常に成長していきたいと願いながら業務に取り組む毎日です。